大阪編集教室で「インタビュー記事を書くために」という講義をうけてきた。雑誌『Number』でも活躍中のノンフィクションライター、城島充氏が担当してくれた。しかもゲストにプロボクサーの元WBC世界ミニマム級王者、高山勝成さんが来てくれていた。以下は二人の疑似インタビューを兼ねたトークセッションをふまえて自分なりに記事にしてみた。よかったら批評してみて。
初めて囲み取材を受けたのが、17歳の時に全日本ライトフライト級新人王を獲った時だ。当時はマスコミからはダークホース的な存在であったため、まさかという目で驚かれたという。
取材に対してはやはり緊張していたし、受け答えの準備などはまったくしていなかった。そのため聞かれたことに対しては素直になんでも答えてしまったため、翌日のスポーツ紙にはどうでもいいような事まで書かれていた。これまでの取材を通して嫌だなと感じたことは、自分のボクシングスタイルを正当に評価してくれないことや、表面上だけで判断されてしまうこと。
教科書どおり、マニュアルどおりの質疑しかされなくて、さみしい思いをしたことだ。本音を聞いてほしいのに、なかなか聞き出そうという人があらわれなかった。
そんな彼に一人のノンフィクションライター、城島充氏との出会いがあった。「初めてジムで会ったとき彼が帰り支度をすませているにもかかわらず、ずっと先輩達のスパーリングを見つめていたのが印象的だった」と城島氏はふりかえる。
「ボクシングはいくら見ててもあきない」と答える彼にまっすぐな純真な心を感じたという。
それから後に兄弟のような信頼関係を築きながら素直な気持ちを語れるようになっていった。
見出しありきの談合的な記事のすり合わせや商業的にパッケージングされた質疑応答。こちらの都合にあわせた誘導尋問など、そういったマスコミに対しては表情や目から読み取ることができるという。
「僕は自分の感性を第一にトレーニングしているのでそちらも感性をしっかり磨いた上で取材してほしい」「僕のことを知りたいという感性がこっちに伝わってくるかどうかで心を開くことができる」という彼の言葉にメディア側の姿勢が問われている気がしてならない。
城島氏は「ノンフィクションの世界では取材の対象となる人と親しくなると、ネガティブなことはなかなか書けなくなる。批判できることを許してもらえる関係性を保ちながら一定の距離間をとるのは難しい」とコミュニケーションの難しさを語ってくれた。
「ボクシングをやめようと思ったことは一回だけある」
「命を削ってトレーニングをし、命をかけてリングに上がったのに、あの結果には気持ちが冷めた」
あの結果とは2007年4月7日、後楽園ホールでのWBA世界ミニマム級王座をかけての対戦のことだ。詳細は同年5月号のNumberに城島氏による『自己証明。ボクサー高山勝成の戦い』というタイトルで掲載されている。彼は「その記事を読んで再確認した」と感慨深げだった。
「もう一度やろうとしたきっかけはいつもそばにいるトレーナーが背中を押してくれたから」と感謝の気持ちをあらわし、「ボクシング界のためにやろうと考えずに、違う世界でがんばっている人々のためにもリングに上がり、勝つことで勇気を与えていきたい」と決意をあらたにしたという。
勝つか負けるかの厳しい世界。負けた時にその理由や原因を探して向き合う精神力。先へ進むには決してさけてとおれない道がある。真摯な態度でボクシングと向き合う26歳の若き青年の目に熱い闘志をみた。